亡くなった成年被後見人の相続人が行方不明だったケース

相続トラブル事案の概要

当事務所で扱った成年後見案件に関する事案です。
Aさんには、一人息子のBさんがいます。成年後見人は、平成20年にAさんの成年後見が開始した後、Bさんと何度か電話でやり取りをしましたが、その後、電話がつながらなくなってしまいました。Bさんの住民票は職権消除(居住の実態がないために、市区町村が職権で住民登録を抹消すること)されていました。成年後見人は、住民票が職権消除される前のBさんの最後の住所を訪問してみましたが、空き家になっており、Bさんとまったく連絡がつかない状態になってしまいました。
平成25年にAさんが亡くなったため、成年後見人は再度Bさんへの連絡を試みましたが、やはり電話はつながらず、手紙を送っても返送されてきてしまいました。そのため、亡くなったAさんが最後に居住していた市の職員の方や、Aさんの両親のお墓があるお寺の方にも協力を仰ぎ、息子のBさんを探しましたが、行方は一向に分かりません。
Aさんにはかなりの財産があるのですが、Bさんの行方が分からない状態では相続財産を引き継ぐことができません。そこで、成年後見人は不在者財産管理人の選任を申し立てることにしました。

相続トラブル解決結果

不在者財産管理人とは、従来の住所(居所)を去って容易に戻る見込みのない不在者について、利害関係人等からの申立により、家庭裁判所で選任してもらう財産管理人のことです。
ここでいう不在者とは、行方が分からなくなってからおおむね一年以上の期間が経過している人をいいます。
また、利害関係人とは、例えば遺産分割協議をしたい他の相続人や、不在者の配偶者など、不在者やその財産に関して何らかの利害関係をもっている人をいいます。Aさんの財産を管理していた成年後見人は、Aさんの死亡後、相続財産をBさんに引き継ぐ必要がありますので、Bさんの財産に利害関係をもっているといえます。
申立ては、不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。申立書に、不在者の戸籍全部事項証明書、不在者の住民票、不在(行方不明)の事実に関する資料、不在者の財産に関する資料等を添えて提出します。
申立てにあたっては、不在者の親族を候補者として申し立てることが多いですが、適任者がいない場合は、家庭裁判所によって弁護士や司法書士といった専門家が選任されます。本件では、適当な候補者が見つからなかったので、候補者は立てずに申立てを行いました。

※申立手続について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

申立て後、家庭裁判所によってC弁護士が不在者財産管理人に選任されました。成年後見人は、Aさんの財産を整理して、C弁護士に引き渡しました。不在者財産管理人は、選任後、不在者が戻り財産の管理が可能になるまで、あるいは死亡が明らかになるまで、不在者のために財産を管理し、財産目録を作成して家庭裁判所に報告する役割を負います。
その後しばらくたって、BさんからC弁護士に連絡があったため、無事にAさんの遺産はBさんに引き継がれました

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