法定相続人が順番に相続放棄をしたケース

相続トラブル事案の概要

都内在住の50代男性が死亡しました。男性の相続人は、妻と3人の子です。男性には相当な金額の借金があったので、妻と子らは、相続放棄することにしました。

ただ、男性の母親が健在であり、妻と子らが相続放棄すると、貸金業者が母親に支払いを請求するのではないかという心配がありました。そこで、妻は弁護士に相談することにしました。

相続トラブル解決結果

自分が相続放棄すれば終わり…とはいかないケースもあります

①相続放棄をした場合の法定相続人の順位

相続放棄をすると、その人ははじめから相続人ではなかったことになります。

そのため、次の順位の人が繰り上がって法定相続人になります

法定相続人になるとは、被相続人の財産を相続する、つまり、借金があれば借金も相続することになります。

 

被相続人の借金を理由に相続放棄をする場合は、この点に注意が必要です。

事情を知らない後順位の法定相続人が、ある日突然、被相続人の借金の支払いを請求されれば驚くのは当然です。

後順位の法定相続人がいる場合は、トラブル防止のために、あらかじめ事情を説明しておくのが望ましいと考えられます。

②相続財産管理人

相続放棄した法定相続人は、被相続人の財産を相続しませんが、次の順位の相続人が財産を管理できるようになるまで、自己の財産と同等の注意をもって財産を管理する義務を負います(民法940条)。

例えば、相続財産に倒壊のおそれのある古い建物がある場合、相続放棄をした相続人は、建物が倒壊しないように何らかの措置を施す義務を負います。

この管理義務を負わないためには、家庭裁判所に申立てをして、相続財産管理人を選任してもらう必要があります。

相続財産管理人とは、相続人の存在、不存在が明らかでないときに、利害関係人等からの申立により、家庭裁判所で選任してもらう財産管理人のことです。「相続人の存在が明らかでないとき」には、法定相続人全員が相続放棄をした場合も含まれます。

詳しくは、相続財産管理人選任申立等をご覧ください。

今回のケースの場合

男性の親族関係としては、妻と子ら、母の他、3人の兄弟姉妹がいました(父は既に他界)。

妻と子らが相続放棄をすると、次に相続人になるのは母です。

母が相続放棄をすると、最終的には兄弟姉妹が相続人になります。

つまり、母や兄弟姉妹が、男性の残した借金の請求を受ける可能性があるのです。

弁護士は、あらかじめ母や兄弟姉妹に対して、男性が相当な金額の借金を残して亡くなったこと、妻や子らは相続放棄をする予定であり、そうなると次の順位の法定相続人であるお母様や兄弟姉妹の方が、男性の債権者から借金の支払いを請求される可能性があることを説明しました。

その結果、妻と子らが相続放棄した後に、母、そして兄弟姉妹と順番に相続放棄することになりました。

先順位の法定相続人に続いて後順位の法定相続人が相続放棄をする場合、既に先順位の法定相続人が家庭裁判所に提出済みの戸籍謄本類、被相続人の住民票(または戸籍の附票)等は、提出を省略することができます。

なお、本件では、相続放棄の申立ての前に、相続放棄をしても遺産の管理義務を負う場合があること、相続財産管理人の選任申立てが必要な理由とその手続きについて、弁護士が法定相続人の皆さんに説明しましたが、管理が必要な財産がなかったため、相続財産管理人の選任の申立ては行いませんでした。

相続放棄でお困りの方は、弁護士にご相談ください

亡くなった方に借金があった場合、第一に相続放棄を検討する方は多いと思います。

しかし、相続放棄すればそれで全く問題ない、とはいかないケースもあります。

相続放棄をしてほっと一息ついたところで、思わぬトラブルに巻き込まれてしまったということにならないように、まずは弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

相続のご相談をお待ちしております。

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