弁護士が遺言執行者の代理人として相続手続を行ったケース

相続トラブル事案の概要

Aさんは、亡くなった叔父が作成した公正証書遺言の遺言執行者に指定されていました。叔父の遺産は預金6000万円であり、叔父の相続人は、離婚した妻との間の子である甲さんと乙さんです。公正証書遺言の内容は、Aさんに預金の3分の2、Bさん(Aさんの妹)に預金の3分の1を遺贈するとの内容でした。

Aさんは、今後の手続について法律相談を受け、遺言執行者として行うべき手続についてアドバイスを受けました。また、甲さんと乙さんには、「遺留分」(最低限取得できる取り分)という権利が存在し、甲さんと乙さんから遺留分の主張(遺留分減殺請求)がなされる可能性があることも知りました。

Aさんは、遺言執行の手続は自分には荷が重いと感じ、遺言執行手続を弁護士に依頼することにしました。

※平成30年の相続法改正により、遺留分減殺請求は「遺留分侵害額の請求」と呼び方が変わりました。遺留分に関する相続法の改正について、詳しくは「遺留分の制度が変わりました(2019年7月1日施行)」をご覧ください。

相続トラブル解決結果

遺言執行者は、「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」とされています(民法1012条1項)。そこで、遺言執行者は、相続人による遺産処分行為を防止するために、相続人等に対して速やかに就任の通知を行うべきです。また、遺言執行者は、遅滞なく相続財産の目録を作成し、相続人に交付しなければなりません(民法1011条1項)。

弁護士は、遺言執行者であるAさんの代理人として、甲さん、乙さん、金融機関に対し、叔父が公正証書遺言を遺して亡くなり、Aさんが遺言執行者に就任したことを通知しました。あわせて、公正証書遺言の写しも添付しました。また、財産調査を行った上で財産目録を作成し、甲さんと乙さんに交付しました。並行して、金融機関とやりとりをして預金の払い戻し手続を行いました。

まもなく、甲さんと乙さんから、AさんとBさんに対し、遺留分減殺請求がなされました。AさんもBさんも、遺留分の問題を解決した上で遺贈を受けることを希望したため、遺言執行はいったん保留しました。そして、AさんとBさんが、甲さんと乙さんに遺留分相当額を支払う内容の合意書を交わし、払い戻し済みの預金から甲さんと乙さんに支払いをした上で遺留分の問題を解決しました。その後、遺言執行としてAさんとBさんに対する支払いも行い、すべて解決しました。

→遺言執行者について、詳しくは「遺言執行者」をご覧ください。

 

遺言執行に不安がある方は、弁護士にご相談ください

遺言の内容通りに、不動産の名義変更や銀行の手続きを進めていくのは、かなりの時間と労力が必要です。特に、お仕事をお持ちの方にとっては、大きな負担となってしまいます。

また、本件のように、遺言執行者が遺留分を有する法定相続人から遺留分の請求を受けた場合等、法律の知識がないと対応が難しい場面もあります。

遺言執行者に指定されたからといって、全てにご自身で対応しなければならないわけではありません。遺言執行は自分には負担が重いと感じた時、手続きを進める過程で解決できない問題にぶつかってしまった時は、ぜひ弁護士にご相談ください。

相続のご相談をお待ちしております。

 

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