相続トラブル事案の概要
Aさん(長男)は一軒家でお父様と同居していました。土地と建物はお父様の名義です。
お父様は平成25年春に亡くなりました。お父様の遺産は、上記の土地と建物の他に、預貯金があります。お父様の相続人はAさんの他に、Aさんの妹Bさん(長女)がいますが、お父様は「所有不動産は全てAさんに相続させる」という公正証書遺言を作成していました。
お父様の遺産をもらえなかったBさんは、Aさんに対して遺留分の減殺請求をしました。請求の内容は、「建物の一部に居住することを求める」というものでした。
Aさんとしては、Bさんと同居することには抵抗があったので、他に良い解決方法がないか、弁護士に相談することにしました。
相続トラブル解決結果
遺留分減殺請求権が行使されると、対象の財産について、遺留分に相当する割合を、他の権利者と共有することになりますので、Bさんの主張にも一応理由があることとなります。
他方で、遺留分減殺請求権が行使された場合、請求を受けた者は、目的物の価額を弁償して、目的物の返還義務を免れることができます。
今回のケースでも、遺留分減殺請求を受けたAさんは、Bさんに対して、目的物の価額を弁償して、目的物の返還義務を免れることができます。すなわち、Bさんを建物の一部に居住させなくても済むことになります。
弁護士は、まず相続財産の価額について調査を行いました。その結果、相続財産である預貯金から、遺留分侵害額を支払うことが可能であると判断したため、Aさんと協議のうえ、価額弁償により解決するという方針で進めることにしました。
解決までに時間は要しましたが、最終的には、調停において、「AさんがBさんに対して遺留分侵害額相当の金銭を支払う」ということでBさんも同意したため、和解が成立しました。
結果として、Aさんは、自身が居住する土地建物をそのまま維持しつつ、預貯金の一部も確保することができました。